何日か前に読了した、村上龍著「愛と幻想のファシズム」より。

 

「それで、人間というのは、他の動物でもそうだけど、嫌いなことをやり続けると拒絶反応を起こすんだ、病気になるんだよ、トウジお前IBMのセールスマンになれるか?」

「止めてくれ、死んじゃうよ」
「そうだろ、とにかく人間は嫌いなことはできないようになっている、ところがだ、嫌いなことでもやる奴がいる」

「いるな」
「いるだろ?」
「誰だ?」

「好きなことが何なのか捜すのに疲れた奴、あきらめた連中だ、楽をしたいと思う奴らだよ、そいつらは、奴隷だ」
「奴隷?」

「俺は奴隷を信頼しない」
「どうして?」

「人を裏切るのは気分が悪いものだ、そうだよな、誰だって人を裏切るのは嫌いなはずだ、だから嫌いなことを普段やってないやつ、つまり奴隷じゃない奴は、とりあえず信頼できるんだ」

 

「(略)…俺は快楽を知っている、狩猟の快楽は他の何よりもすごい、だが俺はその快楽を必死になって手に入れたんだ、あいつらは黙っていても手に入れることができる、努力して手に入れるものに価値があるのというのは、芸術家とスポーツ選手にだけ言えることで、貧乏人には当てはまらない、嘘なんだ」

 

「そうだ、俺はいやなんだ、俺は快楽主義者だからな、小さな快楽で我慢しろなんて言われて黙っているのがいやなんだ、

 

すっげぇ、いやもうこれ、この年になってもわかるよ、ビンビンくるよ、あぁ、そうなんだよ、本当にそうなんだよ。

 

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